夫婦間の生前贈与:宮城県仙台市の司法書士・行政書士による遺言ガイド

夫婦間の生前贈与

夫婦といえども他人です

夫婦といえどもご主人も奥様も個人として独立していますので、それぞれが財産を持っています。夫婦が持っている財産は

  • 結婚前から持っている財産と、結婚中に自分の名義で得た財産
  • 夫婦のどちらかが所有しているか不明な財産

に分けられ、後者は夫婦の共有に属しますが、前者はそれぞれ名義を有する方の財産とされます。

そこで、例えばご主人名義でマンションを購入していた場合、ご主人が亡くなるとそのマンションは、「ご主人の財産」として相続が始まります。

マンションに相続税がかかる場合には、相続した、というだけで多額の相続税を支払わなければならないのが現状です。

さらに相続財産が多かったり、相続人が大勢いる場合などは遺産の分け方などでモメることがあり、最悪の場合、奥様のお住まいが無くなってしまうことも考えられます。

お住まいのマンションなどを夫婦どちらかの名義でお持ちの場合には、きちんとした対策が必要と言えるでしょう。

夫婦間贈与の配偶者控除

このように、夫婦の片方が亡くなられたときには、一方の財産を他方に受け継がせる相続が始まります。

そして悪くすると、今まで住んでいた家やマンションが別の相続人に渡ってしまい、家を、マンションを出ていかなければならなくなってしまうこともあります。

このような不都合をなくすために、生前に夫婦の片方が、他方に住んでいる家などを譲る場合には贈与税の優遇措置をもうけています。

これが、夫婦間の配偶者控除です。

この特例制度を使えば、基礎控除額に加えて、最高2000万円までを配偶者控除することができますので、最大2110万円までの贈与を、非課税とすることができます。

非課税にすることのできる贈与は、以下のような要件を満たすことが必要です。

  1. 結婚されてから20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
  2. 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
  3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けたか贈与を受けた金銭で購入した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
  4. 必要書類を添付して、贈与税の申告を行うこと

居住用の不動産というと難しく聞こえますが、要するところ家屋やマンションなどの建物と家屋の敷地のことです。敷地の中には、土地を借りる権利である借地権も含まれます。なお、建物と敷地は両方一緒に贈与を受ける必要はなく、片方のみの贈与の場合でもOKです。

この配偶者控除の特例は、同じ配偶者からは一生に一度しか使えません。一生に一度のプレゼントとは、こうあるべきなのかもしれませんね。

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