検認について
検認とは
遺言書は、人の最期の意思を遺したものですので、可能なかぎりこれを尊重しなければならないとして、とても強力な効果が認められています。
ですが、このような強力な効果を認めるためには、どのような意思でも良いわけではなく、遺言をされた方の本当の意思や希望が記載されていることが必要です。
現在の法律は、遺言をされた方の本当の意思が遺されていることを確保するために、遺言の作成手順について定めており、この方式則っていない遺言は、誤りや偽りが含まれる可能性がある,ということで遺言としての効果を認められていません。
そして、遺言としての効果を持つかどうかを決めるためには、遺言をされた方が亡くなられたときに、遺言があるのかどうかと、遺言書がどのような状態にあるのかをまず確認しなければなりません。遺言があるのかどうかが分からなければ、そもそも遺言の内容は無意味になってしまいますし、遺言をされた方が亡くなられた時に遺言書がどのような状態であるかが分からなければ、その後の偽造を防ぐことが出来ません。
このように、相続人に遺言の存在を知らせるとともに、遺言の内容を明らかにして偽造などを防ぎ、その後の手続をスムーズに行うための手続が検認です。
検認手続について
検認を申し立てる
遺言書の保管を任せられた方や、遺言書を発見した方は、遺言をされた方が亡くなったのを知った場合、家庭裁判所へ遺言の検認を請求しなければなりません。仮に、検認を請求しなかったり、検認の前に遺言書を開封してしまったりすると、5万円以下の過料の処分を受けることになります(民法1005条)。
検認をしなければならないのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言遺言です。公正証書遺言は、公証人が確認して保管しており、偽造される可能性が低いことから、検認の手続を経なくともよいこととされています。
実際の検認手続
検認手続は、遺言をされた方の最後のお住まいを管轄する家庭裁判所で行います。検認当日は、検認を申し立てた人(「申立人」といいます。)と、相続人が家庭裁判所へ出頭し、出席した相続人らの立ち会いのもとで遺言書を開封します。
相続人は必ず出席しなければならないわけではなく、出席は各相続人の判断に委ねられています。また、自分の代わりに代理人に出席してもらうこともできます。
開封された遺言は、家庭裁判所で、用紙や枚数、筆記具、日付、筆跡、訂正箇所の署名・捺印の状況や遺言書の内容を確認して検認調書を作成します。
検認が終わるまでには、通常1ヶ月ほど時間がかかることが多いようです。
検認手続の必要書類
検認手続を裁判所に請求するためには、次のような書類や費用が必要です。
- 検認審判の申立書
- 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺言をされた方の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 遺言書(封書の場合は封書)1通につき、800円分の収入印紙
- その他各裁判所が定める額・枚数の切手
その他、相続の内容や状況に応じて必要な書類が異なる場合がありますので、詳しくは最寄りの家庭裁判所までお問い合わせ頂いたほうが確実です。