親子間の生前贈与:宮城県仙台市の司法書士・行政書士による遺言ガイド

親子間の生前贈与

生きているうちに受け継がせたい

亡くなられてから財産を受け継がせるのではなく、ご自分が生きているうちに財産を受け継がせ、受け継いだ人が財産を活用していくのを見守りたい。

このような希望を叶えるためには、亡くなってから効果が生じる相続や遺贈より、通常の贈与契約を活用したほうが良いでしょう。

ただし、通常の贈与であっても、相続の前倒しという性格がありますので、相続に影響があるということを覚えておかなければなりません。

贈与をするには

贈与をするためには、あげる方ともらう方との合意があればよく、契約書などを作る必要はないのが原則です。ただ、登記名義をもらう方に移す際には、契約書が必要になりますし、大きな財産を譲る、ということを自覚していただくためにも契約書は作っておくべきです。

贈与をする場合には、もらう方に何らかの負担をしてもらうことも可能です。

例えば、老後の面倒をみてもらう事を条件に、マンションを贈与するなどの契約がこれに当たります。

負担付で贈与をすれば、もらう方が定めた負担をしない場合に、贈与した財産を返してもらうこともできます。

贈与に関する税金のしくみ

誰かに財産を贈与した場合、贈与した財産には税金がかかります。これが贈与税です。この場合、贈与税を払わなければならない方は、贈与を受けた方です。

ただし、全ての贈与に税金がかかるわけではなく、一年間で一定の額(これを基礎控除額といいます。)を超える贈与にだけ税金がかかる仕組みになっています。

この基礎控除額は現在110万円です。つまり、年間110万円を超える財産を贈与した場合に、超えた部分に対して税金がかかるというわけです。

では、毎年110万円を超えない贈与であれば、絶対に贈与税がかからないか、というとそうではありません。

例えば、毎年105万円を20年間贈与していた場合、一年一年でみれば基礎控除額を下回っていますので、贈与税はかかりませんが、あとから見て、「毎年105万円を受け取る権利」を贈与された(これを連年贈与といいます)、と見られてしまう場合もあります。この場合、初年度に、2100万円(=105万円×20年間)の贈与があったものとして税金がかけられてしまいます。

贈与税は、「相続税を払いたくないので生きているうちに贈与しておこう」ということを防ぐ意味もありますので、贈与税の税率は相続税よりも高めに設定されています。

税金を安くしようと思って生前贈与をしてきたのに、かえって高い税金を払うことにもなりかねません。連年贈与と見られないよう、きちんとした対策が必要です。

相続時精算課税制度を利用しよう

このように贈与税は、生前に財産を贈与することで、相続税を納めないということを防ぐことを目的の一つとしています。であれば、贈与税として支払うものと、相続税として支払うものは、本来同じものであるはずですね。

そこで、毎年の贈与税として払ったものを、相続時に清算する制度があります。それが、相続時精算課税制度です。

この制度は、一年間の基礎控除額を引き上げ(110万円から2500万円になります。)、それを超える贈与に一律20%の贈与税を課税します。その上で、実際の相続時に、相続した財産と今までに贈与された財産を基準に相続税を課税するのですが、この際に、既に支払った贈与税を、課税された相続税から引いてくれるものです。

この制度を利用するには、いくつかの条件があります。

  1. 贈与をする方が65歳以上であること
  2. 贈与を受ける方が、贈与をする方の推定相続人で、20歳以上であること
  3. 税務署に相続時精算課税選択届出書、を贈与を受けたる方の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出すること

この制度を使えば、毎年2500万円までの贈与を非課税にすることができます。生前に財産を受け継がせたい場合に、贈与税の心配をすることなく財産を受け継がせることの出来る制度と言えるでしょう。

ただし、相続時精算課税制度は、一旦選択するとあとから変更できませんので、注意が必要です。

住宅資金贈与の非課税を利用しよう

両親から住宅資金の援助を受けたような場合に、贈与税の非課税枠(=基礎控除額)を上積みすることのできる特例があります。

この制度を使えば、年間1500万円までの贈与を、基礎控除に上積みすることができますので、通常の非課税枠と合わせれば、通常の贈与で1610万円、相続時精算課税で4000万円までの贈与を非課税とすることができます。

この制度の適用を受けるための条件は次のようなものです。

  1. 父母や祖父母などの直系尊属からの住宅取得等資金の贈与であること
  2. 贈与を受ける方が、20歳以上であること
  3. 贈与を受けた方が、贈与を受けた年度の3月15日までに、贈与された財産をもって住宅を新築したり、増改築し、さらにその住宅に入居する(または確実に入居する状態にする)こと
  4. 贈与税の申告をすること

この特例は平成23年12月31日までの贈与を対象にしています。申請をお考えの方は、時期にもご注意下さい。

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