死後事務委任契約:宮城県仙台市の司法書士・行政書士による遺言ガイド

死後事務委任契約

死後委任契約とは

委任者(依頼をする人です)が受任者(依頼を受ける人です)に対して、自分の死後のこと、例えば葬儀の執り行いや埋葬に関する事務の代理権を与えて、こ事務を処理してもらうことを委託する契約のことを「死後事務委任契約」といいます。

本来、委任関係は、委任者でも受任者でも亡くなってしまえば終了するのが原則です。しかし、これは「人が亡くなってしまえば、その人に関して処理する事務が無くなってしまう」という考えに基づいたものです。しかし実際には、人が亡くなったとしても、火葬や葬儀、埋葬などの事務が残ります。

そこで、委任契約をする当事者が、「委任者が亡くなっても委任関係を終了させない」ということを合意することによって、委任者が亡くなっても委任が終了せず、死後のことも処理できるようになっています。

ただし、死後委任契約が長い期間に渡って続くと、受任者を監督する人がいないため、受任者が勝手なことをしてしまう心配があります。そこで、死後委任契約は委任者の死後短期間に限って認められ、長い期間の死後委任契約は認められないことがあります。

死後委任契約を活用する

死後委任契約を使うことで、葬儀や埋葬の方法について自分の希望を伝えて実現することが出来るようになります。また、葬儀費用などの支払いをめぐっては、相続人の間で争いが起こることがありますので、死後委任契約を使えば、相続人の間での揉め事を防止することもできます。

このように、自分が亡くなった後のことを信頼できる方に託し、心配なく晩年を過ごされるための手段が、死後委任契約と言えるでしょう。

死後委任契約と遺言との関係

遺言は法律で認められた、とても強力な効果があります。ですので、強力な効果が生じることを明確にしておくため、遺言に書けること自体も法律で定められており、それ以外のことは遺言に記載したとしても、法律的な効果があるわけではありません。

これらの事項は「付言(付帯事項)」と言い、葬儀のことや埋葬の方法の指定などは、この付言に当たります。この付言を守るかどうかは、相続人の意思に委ねられていますので、必ずしも相続人が遺言に従った葬儀を執り行なうとは限りません。

多くの場合は亡くなられた方の意思を尊重し、遺された意思に沿うような形で葬儀や埋葬を行うようですが、相続に際しては揉め事になることも多く、また、時間もそれほどないことなどから、十分に亡くなられた方の意思を反映することが難しい場合もあります。

このような場合に、死後委任契約を活用することが考えられます。 死後委任契約で、信頼できる方に事務を委託することで、相続人から独立した立場で亡くなられた方の意思を実現する手続を進めることができます。事務をお願いする方にとっては、自分の意思を確実に実現することにつながりますし、相続人にとっても、相続時に葬儀や埋葬などの手配をする必要がありませんので、安心できます。

死後委任契約で注意すべき点

委任は原則として無報酬ですが、多くの場合受任者に対して報酬を支払います。

また、葬儀や埋葬には当然費用もかかりますので、これらの報酬や費用を、いくら出すか、どこから出すかを明確にしておく必要があります。相続財産の中から支払うケースが多いようですが、生前に一定の金額を預託するケースもあるようです。

更に、葬儀を取り仕切るのは喪主ですが、遺言で祭祀主宰者の指定がある場合、指定された祭祀主宰者が喪主を務めることが多いようです。生前に祭祀主宰者を指定しておいて、死後委任契約があることと自分の希望を祭祀主宰者に指定された方に話しておけば、円滑に葬儀などが行うことができます。

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