公正証書遺言とは : 宮城県仙台市の司法書士・行政書士による遺言ガイド

公正証書遺言

そもそも公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、その名のとおり公正証書にて作成する遺言です。

公正証書遺言を知るには、まずは公証人や公正証書について知る必要があります。

公証人とは、公正証書の作成を専門とする人で、法務大臣が任命する国家公務員です。

ほとんどが裁判官、検察官、弁護士の経験者の中から、特別に採用されて公証人になっています。

公証人の作成した文書である公正証書は、訴訟をしなくても強制執行が可能になるという強力な効果を持っています。

また、法律専門家である公証人が作成した公正証書には、裁判においても確実な証拠になります。

このように確実な証拠になる公正証書で作成された遺言が、公正証書遺言です。

公正証書遺言を作る場合、公証人の面前で遺言者が遺言内容を説明し、それを文面にしてもらいます。

遺言書の原本は公証役場に保管され、遺言者が死亡した際、相続人からの請求によって開示されます。

なお、遺言者が死亡しても、遺言を保管している公証人に自動的に分かるわけではありませんので、相続手続をするときに、公証人から相続人に「あなたのお父さんの遺言をウチで預っていますよ」というような連絡が来ることはありません。

そうすると、せっかく公正証書遺言を作成しても、遺言の存在が誰にも分からず、遺言によらずに相続手続が進められてしまうかもしれません。

そのようなことにならないように、公正証書遺言を作成した場合は、そのことを相続人や遺言執行者にあらかじめ伝えておくとよいでしょう。

公正証書遺言の作り方

2人以上の証人が立ち会うこと

公正証書遺言を作る際には、遺言者と公証人の他に、証人が2人以上立ち会うことが必要です。

証人の立会いが要求されるのは、遺言者がその方ご本人に間違いないこと、正常な精神状態で遺言を公証人に伝えたことを確かめること、遺言証書の筆記の正確なことなどを証明すること、公証人の事務を監視することなど、遺言をする際に間違った内容が入らないように確かめるためです。

遺言者や公証人に利害関係があっては正しく監視ができないことから、未成年者、推定相続人、受遺者やその配偶者、又はその直系血族など遺言者に関係のある方、公証人の配偶者や4親等内の親族と、公証人の書記及び使用人など公証人に関係のある方は証人となることができません。

遺言者が遺言の内容を公証人に伝えること

遺言者は、遺言の趣旨を公証人に対して直接口頭で伝えなければなりません。

口頭で伝えるのであれば外国語でも構いません。この場合は通訳立会いの下、日本語で公正証書を作成します。

同様にして、手話や触読などの通訳によることもできます。

ここで、公証人にその場で遺言の趣旨を伝えるのが難しいという場合には、あらかじめ公証人に対して書面で、遺言の趣旨を伝えることもできます。

この場合、公証人は、遺言者の作成した原稿を基に、前もって書面を作成しておきます。実際に公正証書を作成するときには、遺言者は「公証人に対する口授は単に書面のとおりです。」と述べれば、公証人には書面のとおりの遺言内容を伝えたものとして扱われます。

公証人が遺言者が伝えたことを書き、これを遺言者と証人に読み聞かせるか閲覧させること

遺言の趣旨を伝えられた公証人は、これを書面にしていきます。遺言者が話した内容を一言一句正確に書かなければならない、というものではなく、遺言の趣旨や精神を記すものとされています。

そして、書面にされた遺言は、遺言をされた方と証人に読んで聞かせて、遺言者が伝えたことと、書いてある遺言内容が食い違っていないかを確認します。

読み聞かせは必ず公証人が行なわなければならない,というものではなく、第三者にしてもらうこともあります。

遺言者と証人とが、書いてある内容が正確であることを確認し、各自署名捺印すること

遺言者が伝えた内容が、正確に書面にされていることが確認できましたら、遺言者と証人はその書面に署名捺印をして、正確であることを確認します。

署名は本人の同一性がわかれば良いので、芸名、雅号、ペンネームですることもできます。

また、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して署名に代えることができます。たとえば、目が見えない場合、手の震えのために署名できない場合などです。

公証人が署名捺印をすること

以上の手続を踏んで、法律で定める手続に則って作成されたことが確認できましたら、公証人は遺言が書かれた書面に署名捺印をします。

この公証人の署名捺印が済むと、公正証書遺言は完成することになります。

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