遺贈 : 宮城県仙台市の司法書士・行政書士による遺言ガイド

遺贈について

遺贈とは?

遺贈とは、「遺」言で遺言をされた方の財産の一部、もしくは全部を、他の方に「贈」与することです。

通常、あるものを無償であげる(贈与する)ためには、あげる方ともらう方が合意する必要があります。これに対して遺贈は、もらう方の意思は必要とせず、あげる方が一方的に定めることができます。

ただし、遺贈をうけた方は、遺贈を放棄することもできます(特定遺贈の場合の民法986条1項と包括遺贈の場合の915条1項)。

遺贈を受ける事ができる方には相続人も含まれますので、遺贈が相続人に対して行われる場合には、遺産の分割などとの見分けが付きにくくなります。ただし、遺贈の場合、登記にかかる登録免許税が相続の場合よりも高くなりますので、注意が必要です。

遺贈の種類

遺贈には多くのバリエーションがあります。様々な遺贈を組み合わせることで、遺言者の意思を実現できるのが遺贈のメリットではないでしょうか。

特定遺贈と包括遺贈

まず、ある特定の財産を与えるという遺贈を、特定遺贈といいます。特定の財産の処分になりますので、通常の贈与と同じように考えることができます。

これに対して、「相続財産の全部」や「相続財産のうち4分の1」など、特定の財産ではなく割合で遺贈の対象を決めた場合を包括遺贈といいます。

相続財産のうちある割合の財産を贈与されるわけですので、贈与というよりは相続に近いものと考えることができます。そこで、包括遺贈を受けた方は、相続人と同様の権利義務をもつとされています(上で遺贈の放棄条件が変わっているのはそのためです。)。

条件付遺贈

遺贈には条件をつけることができます。例えば「死後、葬儀を滞り無く執り行なった場合には、Hに○○の財産を遺贈する。」などです。一定の条件を満たした場合に遺贈が行われるものを「停止条件付遺贈」といい、一定の条件を満たした場合には遺贈が効力を失うものを「解除条件付遺贈」といいます。

後継ぎ遺贈と呼ばれるものも、この条件付遺贈に含まれます。

後継ぎ遺贈とは、「全財産をIに遺贈する。但しIが死亡したときにJが生存していれば、全財産はJに移転する。」というように相続財産の流れをあらかじめ決めておく遺贈です。

後継ぎ遺贈が認められるかどうかは、法律上規定がありません。裁判では認める余地があるとの判断もされていますが、法律関係が複雑になってしまうから認めるべきではない、という考えも非常に有力です。

始期付遺贈

遺贈には始期をつけることもできます。つまり、遺贈の効力が発生する時点を、遺言をされた方が亡くなったときではなく、一定の時間が経った後とすることです。

例えば「私の死亡後、3年を経過したら〇〇という財産を遺贈する。」というように定めます。

条件付きの遺贈を良く似ていますが、3年後の日付は必ずやってきますので、確実に遺贈がされる点で、条件とは区別されます。

負担付遺贈

遺贈は遺言でする贈与ですので、対価のない無償であることが原則です。ただし、対価とは言えない一定の負担を遺贈を受ける方に求めることも可能です。

例えば、「Kに全財産を遺贈する。ただし、Kは母親であるLの面倒をみること。」のような遺言は、負担付きの遺贈とされます。

負担付きの遺贈を受けた方は、遺贈を受けた財産額を超えない範囲で、負担を実行しなくてはなりません。仮に負担を実行しない場合、先の例で言えば、遺贈を受けたにも関わらずKさんがお母さんであるLさんの面倒を見ない場合には、相続人や遺言執行者が負担を行うことを請求することができ、それでも負担を行わない場合には、遺言の取消しを請求することができます(民法1027条)。

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