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息子に事業(会社)を継いで欲しい・・・:宮城県仙台市の司法書士・行政書士による遺言ガイド

息子に事業(会社)を継いで欲しい・・・

このような場面でお悩みではありませんか?

E(64歳)さんは一代で事業を築いた方です。Eさんが代表を務める会社は、中規模ではありますが安定した経営を続けています。

現在この甲株式会社の代表取締役はEさんで、お子さんで創業当時からEさんを補佐してきたF(42歳)さんと、その弟のG(37歳)さんが取締役を務め、Eさんの奥さんであるHさん(65歳)が監査役を務めています。なお、甲株式会社の株式は、Eさんが全体の70%を持っており、Fさんが全体の15%、Gさんが10%、Hさんが5%の株式を持っていました。

Eさんは心臓に持病を抱えており、今は元気で仕事にも支障はありませんが、突然容態が悪化してしまう可能性もあります。自分が亡くなってしまったときに、兄弟間で経営権をめぐって争いが起こり、結果として事業が停滞しないかと悩んでいます。

Eさんは今まで会社を支えてくれたFさんに事業を継いでもらいたいと考えていますが、元気なうちにその対策をしたい、とのことで相談にいらっしゃいました。

経営権の確保がポイントです

現在自分の営んでいる事業を、別の方に受け継がせることを事業承継といいますが、事業承継には次のような方法が考えられます。

  1. 親族内で承継させる
  2. 親族外の従業員等に承継させる
  3. M&Aを用いる

このうちM&A以外の方法では、後継者とする方に、いかにして所有する株式を集中させて経営権を安定したものにさせるかがポイントとなります。

特に親族内での承継を行う場合には、遺言で株式を後継者に集中させて、経営権を確保させることができます。

しかし、株式の価値が高い場合には、後継者に高額な財産を受け継がせることになってしまい、他の相続人の遺留分を侵害してしまうこともあります。遺留分には十分に配慮して、財産の配分を考えておくとよいでしょう。

また相続財産が株式のみだと、後継者の方が相続財産をお金に変えることが出来ず、相続税が支払えなくなってしまうおそれもあります。このことにも配慮する必要があるでしょう。

一つの解決策

何もしないと?

何の対策もしないまま相続が始まると、法定相続分に従ってEさんの株式も相続されますから、Eさんが亡くなった後の株式の保有割合は、Fさんが32.5%(15%+17.5%)、Gさんが27.5%(15%+17.5%)、Hさんが40%(5%+35%)となります。FさんもGさんも単独では過半数の株式を持っていませんので、Hさんの持っている株式をめぐって、FさんとGさんで争いになってしまう可能性があります。

遺言で株式を集中させる

そこで、Eさんが保有する株式の全部は後継者とするFさんに相続させるよう、遺言をしておきます。

こうしておくことで、Fさんは保有する株式が85%に達しますので、会社の重要な事項を決定することが出来、安定した経営をしていくことができます。

ただ、Gさんは相続財産の1/8、Hさんは相続財産の1/4に遺留分を有していますので、この遺留分を侵害しないよう、GさんとHさんにも一定の財産を配分しておきましょう。

相続税対策も忘れずに

また、Fさんが相続税を支払えるように、一定の現金や預金をFさんに相続させておきます。手持ちの現金を他の人に相続させる場合、生命保険に加入した上で受取人をFさんにしておき、Eさんの死亡で一定の現金がFさんに入るようにしておくことも考えられます。死亡保険金は、受取人(Fさん)独自の財産となり、相続財産には入りませんので、遺留分を気にする必要がありません。

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律

平成21年から、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(通称「経営承継円滑化法」)」が施行され、いくつかの要件を満たせば、相続税や遺留分などの問題をクリアすることができます。

まず相続人が、会社の筆頭株主で代表者の被相続人から株式を受け継いで、代表者として経営を継続していく場合、要件を満たせば株式にかかる相続税の80%が納税猶予されます。更に一定の要件を満たすと、猶予されていた相続税自体が免除になることもあります。ただし、この要件はかなり厳しいものですので、事前にしっかりとした準備が必要です。

さらに経営承継円滑化法を使えば、遺留分についても対策を立てることができます。これは遺留分権利者全員が合意した上で、経産省の確認と家庭裁判所の許可があれば、受け継ぐ予定の株式を遺留分算定の基礎から除外することができるというものです。ただし、これにも一定の要件があります。

経営承継円滑化法を使った対策は、とても効果のある反面、要件が厳しく定められています。詳しくは専門家までご相談下さい。

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