残された遺族が遺産の分配で揉めないように・・・
このような場面でお悩みではありませんか?
資産家のWさん(75歳)には、Xさん(52歳)とYさん(48歳)の他、年の離れたZさん(33歳)の3人の子どもがいます。
Xさんは、現在Wさんと同居をし、Wさんが興した事業を継いでいます。
これに対してYさんは、Wさんと反りが合わず、お盆や正月であってもWさんと顔を合わせることはありません。
反対にZさんはWさんからかわいがられていて、以前Zさんがマンションを購入した時や、事業を興したときに、Wさんから相当な額の援助を受けています。
ただ、Xさんたち兄弟の仲はそれほど悪いものではなく、普段から連絡は取り合いませんが、それなりに仲良くやっているようです。
Wさんは自分が亡くなったあとに、子供たちが争いになってしまうのではないか、と考え、どうにかして丸く収める方法はないものか、ということで相談にいらっしゃいました。
相続は「争族」になることもあります
相続の場面では、とても大きな財産が亡くなられた方から相続人の方に移動します。そして、移動した財産は、相続人の間で分けなければななりません。
相続財産を分ける場合には、相続人の間で利害がはっきりと対立します。簡単にいえば、ある相続人の取り分が100万円増えれば、他の相続人の取り分は当たり前ですが100万円減ることになります。このように「ある相続人の利益」はそのまま「その他の相続人の不利益」になってしまうのです。
加えて
- Yさんは亡くなられた方の面倒を全く見なかったのに…
- Zさんは生前から色々援助してもらっているのに…
と、感情が先行して、どうしても納得できないこともあります。
悲しいことですが、それまでは仲の良かった家族が、相続を境にいがみ合ってしまうということは、けして珍しい話ではありません。
そこで、明確な形で遺言を残しておき、財産をどう相続するか、を決めておくことが必要になります。
一つの解決策
財産関係を明らかにしておきましょう
まず、遺言を遺すのに先立って、相続財産に何が含まれるのか、財産の種類や額を調べておきましょう。
相続では相続分を指定する(例えば、Xには相続財産の1/2、Yには1/6、Zには1/3など)こともできますが、実際に財産を分けるに当たっては、配分どおりに分けることが出来ず、結局争いになってしまうこともあります。
そこで、どの財産を誰に相続させるか、を予め決めておいたほうが安心です。
その前提として、ご自分の相続財産にどのようなものが含まれるかを、予め確認しておくことをおすすめします。
「相続させる」旨の遺言をつかう
相続財産の確認が済み、どのような財産があるかがわかれば、次にどの財産を、誰に相続させるかを決めていきます。
この時には「相続させる」旨の遺言を使います。
この遺言を使えば、遺言が効力を生じたのと同時に、何もしなくても目的となる財産の所有権は遺言で指定された方に移転します。さらに、受け継いだ方は、登記などをしなくても、所有権を取得したことを、ほかの方に主張することができるようにもなります。
「Xには以下の財産を相続させる 1:土地 2:建物 3:〇社の全株式。Yには以下の財産を相続させる 1:△銀行□支店の預金口座番号☓☓ 2:自動車。Zには以下の財産を相続させる1:マンション 2:遺言書に記載のない遺言者の一切の財産」
このように、具体的に書くことが争いを予防する秘訣です。
遺言執行者を定めておく
ただ、ここまでしっかり定めても、実際の場面で相続人たちが勝手な振る舞いをしてしまっては元も子もありません。そこで、遺言で遺言執行者を定めておきましょう。
遺言執行者を定めた場合、相続人は遺言の趣旨に反する事ができません。遺言執行者にはその他の専門的な手続も任せることができますので、安心して手続を進めることができます。