「遺言」の読み方は「いごん」?「ゆいごん」?
結論から言うと、「いごん」と読んでも「ゆいごん」と読んでも誤りではありません。ちなみに、通常のパソコン入力をお使いの方は、「いごん」で変換しても、「ゆいごん」で変換しても、「遺言」と変換されるはずです。
法律上の規定は全て漢字で記載されていますが(例えば、民法961条は「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。」と定めています。)、これを読むときには「いごん」と言います。同じく「遺言書(1004条1項)」は「いごんしょ」と読みますし、「遺言執行者(1006条1項)」は「いごんしっこうしゃ」と読みます。
では、「いごん」が正しい読み方かというと、一概にはそうは言えないようです。
「遺言」の中には、法律上の規定に沿って作成され、法律上の効果をもつ「法律上の遺言」という意味の他に、日常良く使う意味として「自分の死んだあとの事について言い残すこと。また、その言葉。」自体を指すこともあります(「大辞林」三省堂)。
そして、このような意味で使う場合には「遺言」は「ゆいごん」と読むのが正しいようです。
つまり、亡くなられた人が何らかの意思を遺した場合、遺された言葉は「遺言(ゆいごん)」ですが、その中で法律で定めた要件を満たし、実際に強力な効果をものが「遺言(いごん)」として扱われる、というのが一つの考えです。
もちろんこれは一つの考えであって、別の考えも成り立つでしょう。
ですので、どちらか意識してお使いになる場合には使い分けても良いと思いますが、特に混同しても不都合はないでしょう。
ちなみに、当事務所のサイトで「遺言」を使うときは、基本的には「いごん」の意味で使用しています。
時に法律上の言葉は、通常の読み方と違うことがあります。「競売」は「けいばい」と読みますし、「兄弟」は「けいてい」と読みます。こういうところも、法律のとっつきにくさを表しているのかもしれませんね。