そもそも、遺言とは?
遺言はこんな制度です
遺言とは、人生での最終の意思や希望を書面にしたものを言います。
人は、生きているうちは、自分の意思で行動することができます。
働くこと、取引をすること、家族をつくること、これら全ては自分の意思で行うことができます。
しかし、亡くなってしまえば、自分の意思で行動することはできません。
この子に自分の財産を与えたいと思っても、他の相続人に渡ってしまうかもしれません。
最悪の場合には、相続人が財産の分配について争いを始めるかもしれません。
こうしたことを避けるため、遺族に対して、せめて自分の意思を伝えることができる方法が必要になるのです。
これがまさに遺言です。
故人の最終意思とも言える遺言は、可能なかぎり尊重されなければなりません。
そのため、法律(民法)では、遺言の方式や効果を厳しく定めています。
法律に従って正確に遺言を作ることで、遺言を作り変えられたりすることを防ぎ、ひいては自分の意思を実現することができるのです。
遺言はいつ行うべき?
「遺言」と言うと「自分の死期が迫ったときに枕元に家族を呼んで…」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論から申しますと、このような遺言は絶対に避けるべきです。
死期が迫った状態では、多くの方は判断力や気力が弱ってしまいます。
弱った状態では、他人の意見を鵜呑みにしやすく、自分の本意ではない遺言を残してしまう危険があります。
また、判断力が弱った状態での遺言は、あとあと争いのもととなってしまうことがあります。
「故人が弱っているのをいいことに、こんな遺言を書かせたに違いない。」
「判断力が弱っている中で作成された遺言だから無効だ。」
など、遺言をめぐって争いになってしまうことは少なくありません。
このような事態を防ぐために、心身ともに健康であるうちに遺言を作成することをお勧めいたします。
遺言は、15歳になれば作成することができます。
「遺言」と「遺書」の違い
遺言とよく似た文書に、「遺書」があります。
遺言を記載した文書を「遺言書」と言いますので、表記の上でもよく似ており、遺言書と遺書とを同じものと考えている方もいらっしゃることでしょう。
しかし、遺言書(遺言)と遺書では、方式や効果が全く違います。
遺言は、上で述べたように、法律で定められた方式に従って作成される法律文書で、この方式に従わない遺言は無効となります。
その反面、遺言にはとても強力な法的効果があり、特に問題がない限り、相続人は遺言の内容に従わなくてはなりません。
また、遺言を改変しようとした人は、相続人から外されてしまうおそれもあります。
これに対して遺書は、法に定められたものではないため、自由に作成することができます。
書面ではなく、音声や画像で作成することも可能です。
しかし、遺言と異なり、遺書の内容は特別な法的効果を持ちません。
従わなくても特に問題はありませんので、遺書の内容が実現するかどうかの保障はありません。
遺書は、残された人に向けてのメッセージという意味合いが強いのではないでしょうか。
自分の死後の財産処分などについて触れたい場合には、遺言を作成することになります。